卒業式・入学式の失敗しないスーツ(第2章 ワイシャツの話)

 前回は「どんなスーツが無難なのか」をまとめました。今回は、そのスーツに合わせるワイシャツのお話です。これらはおそらくスーツの次に目が行く=目立つ部分です。スーツが無難でもワイシャツが奇をてらったものだと、せっかくの無難が台無しです。ワイシャツもしっかり無難なものを合わせましょう。

ワイシャツの色はどれが良いの?

 ワイシャツは白の無地が確実です。黄ばみやシワがない清潔感のあるものを準備しておきましょう。
「白、またはサックスブルー(水色)、薄いピンク、ストライプ柄もOK」と指南する雑誌やお洋服屋さんもありますが、水色やピンク、ストライプはネクタイの色との相性など考えることが余計に増えるだけですので、ここは絶対的に無難な白の無地を選びましょう。

 ちなみに、白の無地というのは、生地は真っ白で柄がなく、糸の色もボタンの色も全て白いワイシャツのことを言っています。白は白でも”シャドーストライプ/シャドーチェック” こと「よく見ると柄があるもの」(画像1)や、糸やボタンに色があるもの(画像2)は、避けてください。
 こういった類のワイシャツは、スーツ量販店が得意とする商品でお店に行けば豊富なバリエーションに驚かされます。白の無地が地味すぎるので、つい手に取ってしまいがちですが、「無難」や「失敗しない」、「普通」を目指すのであれば、おすすめはしません。

おすすめしない白ワイシャツ

よく見えると柄がある(画像1)

おすすめしない白ワイシャツ

糸やボタンに色がある(画像2)

どれを選べばいい? 綿100%?ポリエステル?

 形状記憶や防シワ機能のあるポリエステル混のもので十分です。もちろん、綿100%のものが正統派で、見た目や着心地共に揺るぎない一番なのですが、その反面、お洗濯やアイロンといったお手入れがとても大変です。毎回クリーニングに出すなら良いのですが、お家でお洗濯する予定であれば、お手入れが楽な素材を選びましょう。最近は綿100%でも形状記憶や防シワといった加工がされているものもありますので、そういった綿100%であれば選んでも問題ありません。

 ちなみに、綿100%のワイシャツをお選びの場合、毎回クリーニングに出されることをおすすめします。少なくとも、洗濯機で乾燥まで回さないでください。綿100%のワイシャツを乾燥まで回した場合、もはや自分の手ではどうしようもないほどにシワシワになります。せっかく乾燥したのにもう一度水につけてシワを伸ばして・・・といった本末転倒な手順を踏むことになります。どうしてもお家でお洗濯される場合は脱水の段階で取り出して、浴室ないし外に干した後、霧吹きを使ってアイロンがけをしましょう。

襟の形はどれが良いの?

 襟の形は「レギュラーカラー」か「セミワイドカラー」という表示のものが無難です。ワイシャツの襟の形は何十種類と存在しますが、いわゆる普通の形というか、多くの人が思い浮かべるワイシャツというのはこの2つです。

 オシャレな人に聞くと「タブカラー」や「バンドカラー(私はマオカラーと呼びますが)」、「ワンピースカラー」など、よくわからない用語のものをおすすめされるかもしれません。どれもかっこよいので、いずれは試していただきたいのですが、用語に馴染みがないように一般的には無難な襟の形ではないので惑わされず、「レギュラー」か「セミワイド」を手に取りましょう。

 ちなみに、もうひとつの定番として「ボタンダウン」がありますが、「ビジネスで着るのはアウト」という風潮がマナー業界にあります。馬に乗るポロ競技で着ていた服から誕生したというストーリーがあるため、「スポーツのときに着る服でカジュアル寄りだから、ビジネスやフォーマルな時は着てはいけない」という理論です。これには、「今そういう風に気にする人がどれだけいるの?」という疑問は大いにありますが、指摘されて面倒なことになるのは避けたいものです。ビジネスやフォーマルな場面では、ボタンダウンはやめておきましょう。ただ、クールビズの期間はネクタイを締めないということもあり、ボタンダウンは良しとされています。

無難な襟 ①
レギュラーカラー
無難な襟 ②
セミワイドカラー

 ちなみに、袖口の形もいろいろとありますが、普通の形を選びましょう。もっと洒落た袖口もたくさんありますが、それはスーツを着ることにハマってきてからでも遅くはありません。

レギュラーカフス
レギュラーカフス

ワイシャツのサイズは?

 ワイシャツのサイズは、とても奥深いです。適度な余裕があるのが良いとされていますが、その余裕のさじ加減は十人十色で、サルトにはサルトなりの正解があります。細かくお伝えするとそれだけ何十回も使うことになりますので、それはぜひご来店時のフィッティングでご体感いただくとして、ここでは2つのポイントをお伝えします。

 まず、首周りです。「首周りがキツくて第一ボタンを締められない」、「緩すぎて、第一ボタンを締めても首との間に隙間がある」。これらはどちらもサイズが合っていないということになります。どちらも明らかにサイズの選択を間違えていますが、見た目の与える印象で言えば、後者の方が見窄らしく見えてしまいます。首元が緩いとどうしても「激ヤセ」感というか、とてもゲッソリしてしまったような印象になります。華奢な人こそ首周りのサイズには十分注意しましょう。

 次に袖丈です。ジャケットの袖口から出たワイシャツの袖が手の甲どころか指先まで隠すほどに長いというのはいただけません。逆に短いのも見た目は良くないのですが、ジャケットを着た状況では袖が長いほうが見窄らしく見えてしまいます。これに関してはジャケットの袖丈との関連しますので、後々「最適なサイズ」をまとめる際に細かくお話します。

ワイシャツは、黄ばみもシワもない白い無地が無難ということはわかりました。
それではそこに締めるネクタイはどれがいいのでしょう?
次回は「無難なネクタイ」のお話です。