卒業式・入学式の失敗しないスーツ(第5章 ジャケットの袖の長さの話)

今までアイテムの無難なアイテムのお話をしてきましたが、今回はサイズのお話です。上から下まで無難で揃えても、そもそもサイズが合っていなかったら「無難」すら成立しません。ぴったりのサイズを着て、大切な式に臨みましょう。

スーツのサイズは大丈夫?

 どんなに高級で素敵なスーツでも、サイズが合っていなければ、”だらしない””パパ、かっこ悪い”と言われてしまいます。逆にサイズがしっかりと合っていれば、量販店のセール品でも素敵な見た目と好印象を獲得できます。

 サルトは創業当時から「流行のない正しいサイズ感がある」と提唱してきました。オーダー品に限らず、既製品も自分の「正しいサイズ」を買う(もしくはお直しをする)ことで、より好印象を獲得できるのです。サイズについては細かく語ると書ききれませんので、深い話はご来店時にお話させていただくとして、今回はポイントを絞ってお話します。

【 ジャケットのサイズ 】

 ジャケットのサイズは書き出すとキリがありません。袖の長さ・袖の太さ・肩幅・背中の幅・胸周りの幅・ウエスト・ジャケットの長さなどなどたくさん。なので、見られる可能性がとても高い、袖の長さに絞ってお話をさせていただきます。どうして袖の長さだけに絞るのかと言うと、「袖だけ残念」という場合が多いからです。下の写真をご覧ください。

ジャケットの袖が長い【NG例】
ジャケットの袖が短い【NG例】

 上記の写真はiStockで購入したものなのでコーディネートはいただけませんが、サラリーマンあるあるのスタイルだと思って取り上げました。どこかあるあるなのかと言うと「サイズはだいたい合っているけど、袖の長さが微妙」というところです。この写真も、大体のサイズは合っているのですが、袖の長さが合っていないがために全体的な印象を下げてしまっています。
 手の甲あたりまで袖が長いと、印象としては「だらしなさ」と「頼りなさ」を感じさせますし、逆にワイシャツの袖口が完全に出るほど袖が短い場合には、誰がどう見ても「つんつるてんで、小さいのを着ているなぁ」という印象になります。袖の長さはジャケットのサイズにおいて鬼門と言えます。

 袖の長さはスーツを購入する時に調整してくれるお店もありますし、我々のような洋服お直し屋さんに相談いただければ最適なサイズに調整をさせていただきます。長さが気になる方や、気になっていないけれど自分は大丈夫かな?と思っている方はお気軽にご相談くださいませ。

 袖の長さが100点満点の人たちをご紹介しておきます。サルトのパートナーショップ The ARMOURYのNY店のスタッフさんたちです。ベテランと若手で醸し出す雰囲気は違いますが、袖の長さはどちらもぴったりですね。

The Armoury
The Armoury
今回は、ジャケットサイズの鬼門「袖の長さ」をお話しました。
次回はズボンのサイズのお話です。
ズボンのサイズは長さとおなか(ウエスト)がポイントですので、その辺りをまとめていきます。

卒業式・入学式の失敗しないスーツ(第4章 靴とベルトの話)

スーツ、ワイシャツ、ネクタイとまとめてきましたが、今回は靴とベルトなどのお話です。「無難な靴」とはなんでしょうか。ベルトや付けても良いアクセサリーのことも含めてまとめていきます。

どんな靴とベルトが良いの?

 靴は、黒の革靴で「プレーントゥ」と呼ばれる、最もシンプルな定番のデザインを選びましょう。素材は牛革が良いですが、6万円や10万円を超える革靴である必要は全くありません。最近は合革でも見た目が良いものも増えてきましたし、リーズナブルな牛革靴も存在します。次のポイントで記載しますが、サイズが合っていて綺麗な状態であれば問題ないでしょう。

 ベルトは百貨店や量販店でよく見るようなビジネス用のベルトで十分です。ブランドのベルトの場合はバックルの主張が強いものもありますので、控えましょう。

 靴とベルトの関係ですが、この2つの色は合わせるのがルールとされています。靴が黒ならば、ベルトも黒。靴が茶色ならば、ベルトも茶色です。ただ、学校行事の多くは屋内開催で会場ではスリッパに履き替えるかと思いますので、靴との色合わせはそこまで深刻に考える必要はありません。
 ちなみに、最近は学校がスリッパを用意せず、室内履きを持参するよう指定されることが多くあります。屋内での行事はたくさんありますので、室内履き(と脱いだ靴を入れる袋)はきちんとしたものを用意しておくとよいでしょう。室内履きで検索をすれば、男性用のものもたくさん出てきます。

靴で気をつけるポイントは?

 靴を履く上で最大切なのは、サイズとその靴が綺麗かどうかです。大きめのサイズを履いている方が多いので、買う時にきちんとサイズを測ったもらうか、試着をするのをおすすめします。靴紐をほどかずに靴べらもなしでスッと履けるのは楽ですが、それはサイズが大きい証拠でもあります。靴の傷みはもちろん、不自然な歩き方から来る体の歪みなど、将来的にいろいろな問題が起きてきますので最適なサイズを選ぶようにしましょう。

 また、靴が傷だらけ、砂埃だらけ、かかとが斜めに磨り減っている状態は常に避けたいところです。とはいえ、毎回履いた後にブラシをかけましょう!クリームを塗って保護しましょう!といったことを皆さんにおすすめするのは現実的ではありません。近年、靴磨き専門店や靴修理専門店も増えてきましたので、靴の出番が来る前にこういった得意なところに相談するがよいでしょう。また、サルト銀座店でも靴職人が靴のお手入れや修理、オーダーメイドをご案内していますので、お気軽にご相談くださいませ。

他に必要なアイテムはある?

 ここまでのアイテムでスタイルは完成していますが、もうひと手間するのとすれば、白い小さめのハンカチ(ポケットチーフ)を胸ポケットにいれると良いでしょう。とはいえ、わざわざ買うほどの必須アイテムではありません。もしお持ちであれば程度です。

 お持ちの方は、四角く折りたたんで胸ポケットに入れ、少しだけ胸ポケットから覗くくらいでしたらとても上品です。白以外のハンカチや、無造作にポンといれて胸ポケットからハンカチが暴れだしそうなのはお洒落すぎるので、別の機会に楽しみましょう。

 他になにかするとすれば、時計と結婚指輪のみです。男としては時計を自慢したくなる場面ですが、グッと堪えてシンプルで厚みもそれほどない時計を選びましょう。また、ブレスレットや数珠、パワーストーン、ウォレットチェーン、結婚指輪以外の指輪などは避けた方が無難です。

最低限のアイテムで挑みましょう。

ハンカチの入れ方の見本はこちら。
参照:How James Bond’s Look Evolved for ‘No Time to Die’
無難なスーツスタイルをざっくりとお話しました。
ただ、どんなに良いスーツでもサイズがあっていなければ台無しです。
というわけで、次回はサイズのお話です。