数日前まで、また香港に滞在していました。アーモリーの9周年パーティーと、「DROP93 by The Armoury]との商材のミーティングがメインでしたが、日本からお越しになっていたサルトのお客様をご案内させていただく時間があり、その際に、WWチャンにお連れいたしました。
今回は、パトリックとアーノルドがアメリカでのトランクショーのため不在でしたが、カッターでセールスエグゼクティブのRyan/ライアンが対応してくれました。
ライアンは基本的にはセールスと採寸/仮縫いがメインの仕事ですが、型紙の作成や生地の裁断/カッティングも自分でできるため、オーダー時のやり取りは、セールスの丁寧さと職人の知識が合わさり、とてもレベルの高い会話が可能です。オーダーに慣れていない方にとっては、積極的に提案してくれるので「おまかせ」で問題ありませんし、慣れている方にとっても、知識レベルの高いやり取りが可能です。
実は、WWチャンの場合、Ryanのようなスタッフは珍しくなく、ほぼすべての店頭スタッフがセールスであり、カッターでもあるのです。これは香港テーラーにおいて、WWチャンならではの特徴です。ヘッドカッターであり、WWチャン香港を取り仕切るパトリックも、創業者チャン・ウィンワー氏の息子 ピーター・チャン氏の弟子であり、職人とセールスの双方を見習いのうちから経験していました。パトリックは、自身が経験していたこうしたスタイルを自分の弟子やスタッフたちにも受け継ぐために、セールスマンに対するカッティングの教育をしているとのことです。そして、その弟子の育て方の成果は、WWチャンを支える一番弟子のアーノルドやライアンの姿を見れば明らかです。
ちなみに、ほかの香港テーラーの具合をお話すると、老舗のテーラーの場合、採寸はセールスが行い、仮縫いの際は熟練の職人(広東語で「師傅/Sifu」)が担当する場合が多くあり、対して20代や30代がオーナーの新世代のテーラーの場合、採寸と仮縫いまでセールススタッフが担当することが多いです。もちろん採寸と仮縫いまでに留まり、型紙の作成や裁断、縫製などはできません。
お客様のオーダーに話を戻しますが、今回はフレンチスタイルのサファリジャケットとパンツをオーダーされました。ジャケットはヘッドカッター パトリックの引いたオリジナルデザインで、下記の写真がそれです。
フレンチスタイルなフィッシュマウスラペルに、パッチポケット、後ろには左右の肩にアクションプリーツ、腰にはベルトがつけられています。おそらく、どこぞのオーダースーツ屋さんで作ると、トゥーマッチすぎて見てられない仕上がりになりそうですが、パトリックならではのバランスでデザインされたこちらのジャケットは、しばらく見ているとなぜか「かっこいいな」と思えてきます。
Text and Photos:Moto Kwok, Sally Kwok
Moto Kwok-fan
Moto was born and raised in Japan and has lived and worked in Shanghai and Hong Kong.
After he graduated from university, Moto started his career as a real estate and investment agent and digital-marketing. He worked for this industries for about six years and afterwards he started own business as marketing and some fashion brand agent.
In 2018, he joined SARTO GINZA as director and now he in charge of the marketing, promotion and sales department.
Menswear enthusiast and movie props, LEGO block, old Kenner/Hasbro Action figures “Huge Collector”
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