【1】Liverano & Liverano/リヴェラーノのお直し

 多くの衣類のお直しを承ってきた我々サルト銀座の元には、毎日様々なお品物がお直しに持ち込まれます。エルメスやグッチ、ブルネロクチネリ、マックスマーラ、モンクレールなどの高級ブランド品から、ラフルローレンなどのカジュアルブランド、さらにユニクロ、ZARAなどのファストファッション品、中にはスポーツ試合用のユニフォームまで様々です。本当に書きれないほどございます。

 ただ、全てのお直し品の中でも、最も多くご依頼いただくお品物は、なんと言っても「スーツ」。サイトリニューアル後、初のブログである今回は、そんな弊社の真骨頂である「スーツのお直し」をご紹介させていただきます。しかも、弊社サルトのお直しですので、一般的なスーツではございません。
 ご紹介いたしますのは、イタリアはフィレンツェにあるテーラー「Liverano & Liverano/リヴェラーノ&リヴェラーノ」の総手縫いのフルオーダー(ビスポーク)品。しかも、シルク/コットン混合という難しい生地の品物になります。

サルト史上、一二を争う高難易度のお直し

 こちらの写真をご覧ください。どうやらお客様の体型よりも上下共に2~3サイズほど大きいようです。こうした場合、サルトではジャケットもスラックスも全て分解をして、生地の状態に戻したあと、サイズに合わせて生地をカットし、再度仕立て直す手法でお直しをしています。
 大掛かりではありますが、様々なスーツで数えきれないほど経験済みであるため、いつもなら大きな問題は感じないお直し内容です。

 ところが、このリヴェラーノというスーツは、普通のスーツではありません。立体感を作り出すために普通は付けられている「前ダーツ」がなく、生地の裁断とアイロンの技術だけで立体的なカーブを作り上げていたり、直線以外は手縫いで縫われていたり、とにかく複雑。しかも、直線部分以外はすべて手縫いであるため、お直しも手縫いです。

そんな複雑で難易度の高いリヴェラーノのスーツお直しを、今後、数回に分けてご紹介させていただきます。

文:Moto Kwok-Fan(モト・クオック・フアン)