親から子へ、そして孫へ。世代を超えて洋服を受け継ぐことは、単なる節約やエコではなく、家族の歴史や想いを未来へ繋ぐ特別な体験です。
サルトでは、長年大切にされてきたお洋服を現代のライフスタイルに合わせて蘇らせる「受け継ぐお直し」をご提案しています。
今回は、サルトスタッフとその家族が実際に体験した「受け継ぐお直し」のストーリーを2つご紹介します。
さらに記事の後半では、美しいシルエットを保ちながらサイズを調整する、サルトの職人ならではのマニアックな「ウエスト詰め(身幅詰め)・出し」の技術についても詳しく解説いたします。ぜひ最後までご覧ください。
まずは、サルトスタッフの妹様よりご依頼いただいた事例をご紹介します。
お直しするのは、2013年にサルトで開催されたオーダー会にて、お母様が仕立てられた思い出深いジャケットです。
お母様の体型に合わせて作られた一着だったため、娘様が着用するにはサイズが合わず、特に袖丈が著しく足りないという課題がありました。
ご依頼主である娘様からは、「様々なスタイルに合わせやすく、日常的に気軽に着られる一着にしたい」というご要望をいただきました。
ヒアリングの中で、娘様が「推し活」を楽しまれているというエピソードを伺い、フィッターの松尾からある提案をさせていただきました。
それは、ライブやイベントのグッズTシャツの上にこのジャケットを羽織るスタイルです。
カジュアルなTシャツも、上質なジャケットを合わせることで、
イベント会場でもひときわ目を引く大人の「おしゃれな推し活スタイル」へと昇華されます。
今回のお直しの最大の特徴は、肩口をパフスリーブへとリメイクした点です。
パフスリーブの柔らかな曲線は、いかり肩気味の方でも肩のラインを強調しすぎず、女性らしくしなやかな印象を与えてくれます。
また、課題だった袖丈の短さを逆手に取り、パフスリーブとの全体のバランスを考慮して、あえて手首を見せるデザインに調整しました。
これにより、全体が軽やかでスッキリとしたシルエットに仕上がりました。
さらに、ボタンを華やかな金ボタンへと交換することで、クラシックさと現代的なカジュアルさが同居する、
使い勝手の良いデザインへと生まれ変わりました。
カジュアルなLIVE Tシャツに合わせたコーディネートも抜群の安定感で、お母様の想いがこもったジャケットが、娘様の新しいライフスタイルに寄り添う一着として見事に蘇りました。
続いて、サルトスタッフが実体験としてお届けする、長年大切にされてきた一着のコートにまつわる物語をご紹介します。
ご依頼の主役は、スタッフの祖父が香港のバーバリー直営店で購入したという思い出のコートです。
子どもの頃から、祖父の凛としたスーツ姿に憧れを抱いていたスタッフにとって、そのスタイルを象徴するアイテムの一つであったこのコートを受け継ぐことは、長年の願いでした。
おじい様はこの申し出に対し、
「自分自身も非常に気に入り、手入れをしながら大切に着続けてきた一着です。それを孫が継ぎたいと言ってくれたことは、とても嬉しいことです」と、温かい想いを寄せてくださいました。
今回のお直しにあたっては、サルトの檀社長自らがカウンセリングを担当。
現代のライフスタイルに馴染ませつつ、元の仕立ての良さを活かすための検討が重ねられました。
完成したコートを羽織ったスタッフは、その変貌ぶりに驚きを隠せませんでした。
「袖の長さを整えただけで、これほどまでに雰囲気が変わるとは。長年見てきた祖父の服が、袖を通した瞬間に自分の一部になったような、不思議なしっくり感があります。今日はこのまま着て帰り、すぐにでもおじいちゃんに完成した姿を見せに行きたいです」と、満面の笑みで語りました。
今回のコートのお直しでは身幅詰めは行いませんでしたが、実際に行う場合にはどんな風にお直しすることになるのかご紹介していきます。
ジャケットの全体的なサイズを小さくしたい時に行うのが、身幅詰め(ウエスト詰め)です。
バスト、ウエスト、裾を詰めていきますが、その際にサルトの職人達が行っている技術の数々をご紹介します。
ジャケットは通常、脇の下から裾にかけて一本の縫い目があります。
一般的なお直し屋さんでは、「そく詰め」という方法で前と後ろを同じ寸法でこの一本の縫い目を縫っていきます。
これがよくあるお直しの方法ですが、デメリットもあります。
ジャケットは元々、前身ごろに対して、後ろ身ごろの方がカーブが大きく入っています。
そこを前と後ろを同寸で詰めてしまうと、着た時にバストとウエストは詰まっているが、裾がピロっと広がっている、まるで「王子様のジャケット」のようなシルエットになってしまうことがあります。
これを解消するために、サルトの工房ではこだわりの詰め方でお直ししています。
前身ごろと後ろ身ごろを1度ばらして、詰める寸法を場所によって変えています。
先ほどの紹介したように後ろ身ごろはカーブが強いです。
そのため、カーブが強いまま大きい寸法で詰めてしまうと、強いカーブがより強くなってしまう。
そして裾が広がってしまうという状態になります。
そのため、サルトの工房では後ろ身ごろのカーブが強い部分は詰め寸を控えめにして、前身ごろを多めに取るようにして、裾の広がりをなるべく抑え、生地の負担も少ない状態で仕上げるという方法をとっています。
一律に同じ寸法で詰めるのであれば簡単ですが、バランスを見て、詰めるため、
一度ジャケットを開き、また縫い合わせるという丁寧なお直しをしています。
では、逆にジャケットのボタンが閉まらないというお悩みの場合はどうするか。
ウエスト出し(身幅出し)についても紹介していきます。
両サイドに切り込みのある「サイドベンツ」、真ん中に切り込みのある「センターベント」、切り込みのない「ノーベント」。
いずれの種類でも、多くのジャケットで出すことができるのは3㎝程度と考えていただければと思います。
ただ、やはり形状によるところは大きく、サイドベンツ、センターベントはウエストがくびれている形のものが多く、最大で3㎝というものが多いです。
一方でノーベントの物はボックスのようなシルエットの物が多いため、縫い代がたくさんあるという場合もあります。
そのため4cm程度出すことが可能な物もあります。
実際にTOM FORDのジャケットで見てみましょう。
裏地のついていない物は両脇のところから出していきますが、今回の物は片側ずつ2㎝出すことができます。
合計4㎝、ワンサイズ大きくすることができます。
通常は裏地が付いていて、縫い代がどのくらいあるのかを自分で確認することは難しいと思いますので、是非一度サルトにお持ちください。
簡単に確認することができます。
ワンサイズの調整では足りないという場合にもご相談ください。対応できるものもございます。
センターベントのものは難しいですが、一番多いサイドベンツのものであれば、背中心と呼ばれる、後ろの真ん中の部分にも縫い代がある場合があるため、さらに追加で2~2.5㎝出すことが可能です。
是非諦める前に一度お持ちください。
1㎏で1㎝と考えると、ジャケットは5~6㎏体型が変わってもお直しで対応ができます。
今回は、想い出の詰まったお洋服を未来へ繋ぐ「受け継ぐお直し」の事例と、サルトの職人が誇るマニアックなサイズ調整技術をご紹介しました。
どれほどこだわってお直しをしているかを感じていただければ嬉しいです。
世代を超えて受け継がれる服には、単なる物以上の価値が宿ります。
体型が変わってしまった、デザインが古く感じるなどのお悩みも、プロの技術で解決できることが多くあります。
動画内では、職人が一針ずつ丁寧に縫い合わせている、実際のお直しの様子も詳しく公開しております。
ぜひ、職人の手仕事が生む魔法をご覧ください。
そして、タンスに眠っている大切な一着があれば、どうぞお気軽にサルトまでご相談ください。
\限定ポイントプレゼント実施中!/
LINEからご予約いただくとスムーズにご案内可能です。
ご都合に合わせてご予約いただけます。是非一度ご来店ください。
この記事の監修者
檀 正也 / サルト株式会社 代表取締役
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